アドビ創業者 故チャールズ・ゲシュケの遺したもの

アドビ社の共同創業者であるチャールズ・ゲシュケ氏は、後にPDF(Portable Document Format)の開発にも影響を与えたPostScript(PST)言語を残した人物である。

ゲシュケ氏は4月16日に、家族と暮らしていたサンフランシスコ・ベイエリアの住居で81歳の生涯を閉じたことが、アドビ社によって確認された。

アドビの最高経営責任者であるシャンタヌ・ナラエンは、従業員への電子メールに「数十年にわたり、彼を導き英雄としてきたアドビのコミュニティ全体とテクノロジー業界にとって大きな損失である」と書いています。

ゲシュケはゼロックスに勤務した後、1982年にジョン・ワーノックとともにアドビを設立した。彼らは、テクノロジーの世界で最も関連性の高い企業の1つであり、イラストレーター、プレミアプロ、フォトショップなどのプログラムに生命を与えたのである。

PSTからPDFへ

1970年代後半、ゲシュケとワーノックは、タイポグラフィのような複雑な形式を説明できるページ記述言語(PDL)「インテプレス」を開発した。

インタープレスの重要性をゼロックス社の幹部に納得させることができず、彼らは会社を辞め、1982年にアドビ社を設立した。

やがて、インタープレスはPSTになる。しかし、ゲシュケとワーノックの開発の成功を確固たるものにするのは、アップルがこの言語を採用したことであった。

PSTのおかげで、ユーザーはコンピュータで文字を入力すると、印刷されるのと同じように画面上で文字を見ることができるようになった。これはWYSIWYG(what you see is what you get)と呼ばれるプロセスである。

この技術革新は、現代の印刷・出版における「産業全体を生み出した」ものであり、後にAdobeの主力機能となったPDFの開発にも影響を与えることになる。

「その最初の製品がAdobe PostScriptで、紙に文字や画像を印刷する画期的な方法を提供し、DTP革命の火付け役となった」とナラヤンは指摘した。

アドビでは、最高執行責任者(1986-1994年)、社長(1989-2000年)を務めた。

2000年、ワーノックがCEOを退任する少し前に、アドビを退職した。1997年9月から2017年まで、アドビ社の取締役会の共同会長を務めた。

2009年、バラク・オバマ大統領はゲシュケとワーノックに「National Medal of Technology(全米技術賞)」を授与した。

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